書評:エッセイ「20代で得た知見」

今回はこの前偶然本屋で見つけた
F(えふ)さんの「20代で得た知見」と言う書籍を紹介します。


「20代で得た知見」とはどんな書籍か

今回紹介する「20代で得た知見」とは、世の中の20代を経験したあらゆる人々(職種、貧富、善人悪人問わず)から集めた20代で知っておいた方が良いことの短編集です。

人生を歩む中で得た、誰にも言うことができないような「秘密」「教訓」「物語」。
悲しみやどうしようもない諦め、痛々しさ。そして、まだ生乾きな傷跡の話など

誰にも言えなかった人の心の話が書かれている書籍です。



”知見” の紹介

僕のお気に入りの一節を紹介します。(以下枠内は引用です)

65. 最後の砦を、死守する

「死にたくなったら、寝ろ。寝られなかったら、朝焼けを見に行け」と教えてくれたのは現代国語の先生でした。「もし心が先に死んでしまいそうなら、カメラを持ち歩け。外の世界への内面の感度を、強制的に上げろ」と教えてくれたのは職場の先輩でした。
彼らの台詞を思い出す度、私は嬉しくなる。「それでも人間はしぶとく生きる。だから安心しろ。そして、絶望しろ」と言われているようで。
〜〜中略〜〜
きっと人は物を買うだけでは、消費するだけでは、絶対に満たされないようにできている。主体性を放棄してはならないのです。
そして最後の砦は、自分で作り、死守せねばならないのです。 

「20代で得た知見」P110~111 著者:F

※この文章の概要を引用だけで理解するのは難しいので、ぜひ一度手に取って読んでみてください。

これからの人生。必ず、辛くて、苦しくて、死にたくなるような時がある。そんな苦しい時でも、自分の創作意欲だとか、写真に残したい、文章に残したいと思えるその気持ちさえあれば、自分の最後の砦は守られる。

最後まで自分の感性を持ち続けることが、生きていくために大切なことだと書かれています。



誰かが呟いた独り言の方が、他の誰かの心に刺さる

この書籍を読んでいると何か重要なことを教えてくれているというより、作者が心のうちを呟き、それをただ横で聞いているだけ、そんな感覚になります。

私にとってはそんなただの独り言を聞いている方が、心の深いところにまで言葉が染み込むような気がするのです。

誰かに直接伝えるよりも、自分に向けて呟いたことを偶然誰かが聞いてしまった時の方が、その"誰か"に響くんじゃないか。

実際に人には直接言えないような人間らしい部分も生々しいことも書かれてあるエッセイ本ですが、共感する部分も多くありました。

吉

このブログのドメイン「pandamonologue (=パンダの独白)」の本来の意味は「誰かの心に響くのは、偶然聞いた誰かの独り言である」という考えに由来しています。いろんなところに手を伸ばして、ブログ当初の趣旨とはだいぶかけ離れてしまいましたが、今後も機会があればこんな感じのオピニオン記事も書いていきます。





終わり。

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