ここは大学の動物病院。僕とY君は大学の実習で泊まり込みで動物のお世話をしています。
明け方、入院中の雑種犬ジャックとドッグランに散歩に出かけました。
夜の動物病院の終わりに
家族と離れて4日間
ジャックは今日の昼頃帰る予定で、寂しげだった姿もこの朝のお散歩で見納めです。
リードを片手に、屋上にあるドッグランの扉を開けると
青、紫、ピンク、オレンジ
綺麗なグラデーションの空
ジャックに引っ張られて、冷たい空気の中を歩き始めました。
新しい朝だなぁ
ポリクリが始まって、新しく学ぶことばかりで毎日があっという間に終わっていく
1週間がこんなに早いなら、卒業までの1年半もきっと早く感じるのだろう
この新しいものに挑戦するという、久しぶりの感覚に僕は今ワクワクしています
新しいことを知る、体験する、
そして、それを経験した自分は
昨日とは違う
こういった感覚が、僕は大好きです
今まで、僕は
物事を選ぶ時、自分が一番成長するであろう選択肢を選ぶようにしてきました
しかし、奇しくもその選択肢はたいてい辛いこと、面倒なこと、大変なことが多いです
それでも「困難な道」の方が「楽な道」よりも絶対に得られるものが大きいはずだと。
自分にとって何が一番いい結果か、何が一番成長できるかだけを考えて。
でも、大学5年の研究室配属の時期になって、その考えに疑問を持つようになりました
(メンタルブレイク期)
5年生になって研究室配属が決まり、私は1人の准教授に付くことになりました
もともと臨床志望だった僕は
どうせ臨床に行くなら、学部生時代だけでも研究をかじっておきたい
(2年後卒業するまでに、何かしら成長したい)
やるなら僕の成長を第一に考えてくれる人につきたい
そんな考えで、4年生のうちから何度か相談に乗ってもらっていた、研究の分野で優秀な若手の先生につくことにしました
いざ始まってみれば
その准教授は、
その日の機嫌でかなり行動が変わる人で、怒鳴られ、馬鹿にされ、
どんどん心が萎んでいく毎日でした
ー自分は弱い人間なんだな…
共用試験の時期であったり
ちょうど就活を始めた時期であったり
色々と重なっていた部分はあったかもしれないけれど
自分の心がどんどん弱っていくのを感じていました
なるべくその准教授と会わないようにしていたし、会わないといけない時は怒鳴られるきっかけを作らないように話す内容を全てシミュレーションしていました
僕が大好きな新しいことに対するワクワク感や成長している感覚は微塵もありませんでした
研究室配属後、半年くらい経ってようやく准教授との距離感が掴めたということと反面教師にしようと開き直れたことによって
自分の心も准教授との人間関係も今では順調に回復しています
今となっては、辛い経験をしたことで大切な教訓を学べたと言えますが、当時の僕は本当に心が病みそうで、正直トラウマを植え付けられた4ヶ月間でした。
今の自分がもし研究室配属前に戻れるなら、きっと他の研究室を選んでいたと思います。
ここで思ったことは、
自分の成長を求めるあまりに、自分が大切にしたいものを蔑ろにしていたり、本当に欲しい成長を得る機会を持てないことがある
何でもかんでも自分の成長のために厳しい道を選んでいたら、自分を苦しめて、心が壊れてしまう
そんなことにやっと気がつきました
物事を選ぶ時に、
その選択をした後、その道のりで自分がどんな心でいられるのか、
そのことにもっと比重を置いて考えることが、自分の人生を考える上で大事なことだと思いました
辛いことを避け、自分の心を守ろうとすることは、決して逃げではない。
自分が安らぎを感じるのはどんな環境なのか
自分の能力を発揮できるのはどんな環境なのか
それを見極めて身を置くことが重要なことなのです。
ドッグランで感じた、夜明けの美しさと、新しい1日が始まる感覚
僕が一番能力を発揮できるのは、
物事を美しいと感じれるだけの心の余裕と、新しいことに対するワクワクを感じることができる環境
この二つが揃ったとき
自分の人生。
誰かに振り回されて楽しめなくなるのは勿体無い。
僕は、僕のことを大切に思ってくれる人のことを考えることで、精一杯なのだから。
時刻は13:00
心が安らぐ居場所を想っていたジャックは、無事に家族に会えただろうか