今回紹介するのは「桜のような僕の恋人」という小説です。
この小説には、プロのカメラマンを目指す青年が出てきます。
写真を撮る目的や写真に込めた想いが語られる部分があり、個人的にすごくいいなと思ったのでこの本について書くことにしました。
カメラ好きな人に是非読んでほしい作品です。
基本情報
作者は宇山 佳佑さん。「今夜、ロマンス劇場で」や「ガールズ・ステップ」など、映画化されるほどの有名作品を手がけている小説家です。
今回紹介する「桜のような僕の恋人」も2022年3月にNetflix限定で映画が公開されました。
晴人と美咲
この小説の冒頭は、元カメラマン見習いの晴人が、美容室で美咲に髪を切ってもらうシーンから始まります。
美容師の美咲に片想いする晴人。ひょんなことをきっかけに美咲とのデートが叶います。
実直で一途な晴人に戸惑いつつも徐々に惹かれていく美咲。2人はやがて恋人の関係になります。
美咲と関わる中で、
一度諦めていたカメラマンの夢を再び目指すことにした晴人。
そして美咲にも、美容師としてたくさんの人を笑顔にすると言う夢がありました。夢を追う2人は、一緒に過ごせる日々に明るい未来を描きます。
そんな中、ある恐ろしい病が美咲に襲いかかりました。
ファストフォワード症候群という病
【ファストフォワード症候群】
20歳を過ぎたあたりから急激に老化が始まり、人生が急激な速度進んでいく様子から【ファストフォワード(早送り)】と呼ばれています。
実際は、【ファストフォワード症候群】という名前の病気はなく、作品中のみの創作された病気のようです。しかし同様の症状を示す病気が現実にもあり、【早老症ウェルナー症候群】がモデルになったのではないかと言われています。
徐々に老化が進んでいく美咲。醜い自分を見て欲しくないと、晴人との関係を拒んでいくようになります。
この小説で【写真を撮る意味】を考える
晴人は思います。僕が美咲にしてあげられることは残っていないだろうか…。
晴人が美咲のためにカメラで切り取った写真とは…?
この小説では最後に、晴人が写真を撮る目的を語っています。あの時と変わらないものを切り取ってくれるカメラに、晴人はどんな想いを込めたのか。
まとめ:「桜のような僕の恋人」 を読んで
いい写真とは何か、僕にとってそのことをよく考えるきっかけになった小説でした。
この小説では登場人物の性格が細かく表現されています。1つ1つの言葉や仕草にも、愛情や悲しみといった感情が裏打ちしていることを感じ、登場人物により感情移入してしまいます。
想像を絶するような深い悲しみを背負った2人とその周りの人々の物語。
その中で写真が一つの重要なキーワードとなっており、写真の力をあらためて知ることができます。
小説好きな人はもちろん、何がいい写真なのかわからなくなった人にも是非読んでほしい作品です。
今回はここまで!
終わり。